街全体が世界遺産:エヴォラ


ポルトガルの首都リスボンから電車で南に2時間ほど行ったところにあるのが、今回ご紹介するエヴォラ(Évora) 。ポルトガルを代表する世界遺産でもあるこの街は、意外なところで日本との接点を持っていたりもします。

エヴォラの歴史は、イベリア半島の先住民族であるルシタニア人がこの地方の中心となる街を建設したことに始まり、共和政ローマ、西ゴート、ムーア人の手を経て、さらにポルトガル王朝の治世においても宗教改革の中心になりました。こうした変化に富んだ歴史のために、エヴォラでみられる建築様式はロマネスク建築・ゴシック建築・マヌエル建築・ルネサンス建築・バロック建築と様々です。


現在でも街には大聖堂や神殿、送水路などのこれまでの建造物が保存されています。街を歩いていると、そこらかしこで見かける建物ごとに建築様式が違っていたりして、小さな街ながら、飽きない散歩を楽しめますよ!


◆大聖堂

13世紀に完成した国内最大級の大聖堂は、長期にわたり建築が続けられたために、1つの建物ではありますが、メインの礼拝堂はバロック様式、翼廊の礼拝堂はマヌエル様式、パイプオルガンはルネッサンス様式、そして回廊はゴシック様式と一つの建物の中にいくつもの建築様式が混在しています。

上から見ると十字架のような造りとなっている大聖堂内部は、要塞のような外面とは打って変わって、荘厳で幻想的な雰囲気。礼拝堂はもちろん、傑作とも言われる聖歌隊席なども必見です。

そして日本との接点が、この教会内にあります。それはポルトガル最古のパイプオルガン。
1584年に日本のキリスト教宣教をより活発化させようと、本場であった欧州に派遣された4人の『天正遣欧少年使節』が、初めてヨーロッパの大地を踏みしめたリスボンからポルトガル国内を巡った際に、この大聖堂のパイプオルガンを弾いたと言われているのです。現在でも毎週のミサで奏でられているので、5世紀も前の大先輩達に思いを馳せてみるのもいいかもしれません。

静かな回廊も堪能した後は、テラス式の屋上にも登ってみましょう。屋上からは大聖堂とエヴォラの街全体を見渡せます。時間によっては鐘の音を間近に聴けますよ!


◆アグア・デ・ラプラタ送水路

エヴォラの街を上空写真で見てみると、北側から街の中心に向かって突き刺すように延びている線が見えます。地表から見ても、エヴォラ市街を取り囲む城壁外から一直線に延びる送水橋は目立ちます。16世紀に水不足を解消するために市街から18キロ離れたグラッサ・ド・ディヴォルを水源として建築された橋で、現在もその半分の9キロが残っています。設計者はリスボンの観光名所『ベレンの塔』も設計したフランシスコ・デ・アルーダによるもの。アーチ部分は高いところで26mもあり、アーチが街の道路をまたぎながら中心のジラルド広場へと向かいます。

この橋が面白いのはその保存方法。街に入ってすぐのカノ通りに行ってみると、アーチの柱がそのまま家の柱に使われていたりして、橋と民家が一体になっている様子がなんだか面白いです。


◆サン・フランシスコ教会

この教会は街全体が世界遺産に登録されているエヴォラ歴史地区の中でも、とりわけ独特な教会です。教会自体はマヌエルとゴシックが混在した重厚感がある教会です。ですが教会横の狭い通路を進んだ先にある、『カペラ・ドス・オソス』と呼ばれる人骨堂の内部はドーム状になっていて幻想的ではありますが、でこぼこしている壁や柱はすべて人骨です。

この5000体を超えるとも言われる人骨は、中世に大流行したペストや戦争の犠牲になった人たちで、美しい天井画と人骨が埋め込まれた壁が何とも言えない不思議な雰囲気を醸し出しています。人骨堂の入口には、「Nós ossos que aqui estamos pelos vossos esperamos(私たち骨は、あなたの骨をここで待っています。)」と、メメント・モリ的なキリスト教の教えが書かれています。


◆ディアナ宮殿跡

街の中心部にある共和政ローマ時代の神殿です。

2~3世紀にかけて、ローマ初代皇帝のアウグストゥスを祀るために建築されました。また、月の女神ディアナに捧げられたのではないか、という説から『ディアナ神殿』と呼ばれています。また、この神殿前の一番眺めがいい場所に日本人彫刻家の北川剛一氏の作品が展示されています。その名も『波立つ海の中に光る満月』。宮殿を訪れた際には是非お見逃しなく!


◆ロイオス教会

15世紀後半に建てられたこの教会は、その内装がとても豪華!中に入ったらすぐ左右に広がる伝統のアズレージョは大変美しいものです。この教会のアズレージョには教会と縁が深かった聖ローレンスの生涯が描かれています。この教会はカダヴァル家所有の教会で、教会の床には代々カダヴァル家のお墓や、古井戸、人骨堂があります。この教会の修道院部分は現在国営ホテルのポサーダになっています。近隣にはカダヴァル公爵邸があり、エヴォラ最盛期には国王ジョアン3世と5世が住んでいた時期もあった由緒ある建物です。現在は博物館になっており、中庭はレストランとして使われています。



◆エヴォラ大学

16世紀にイエズス会の神学校として始まった大学。ポルトガルではコインブラ大学についで2番目の歴史を誇ります。この大学の最大の見どころは、中庭をはさんだ教室ごとにはめ込まれたアズレージョです。それぞれテーマが違い、数学や心理学、歴史学などと書かれています。

エヴォラは小さい街ながら、街全体が世界遺産になっているということもあり見どころは盛りだくさん。アクセスもリスボンから電車またはバスで片道2時間ほどなので日帰り観光も可能ですが、どうせならゆっくりと一泊滞在してみて、昔遠い日本の地から欧州にまでやってきた天正遣欧少年使節に思いを馳せてみるのもいいかもしれませんね!








イベリアエクスプレス
イベリアエクスプレス

  • イベリアエクスプレス
  • ポルトガル
  • リスボン
  • エヴォラ
  • 世界遺産
  • エヴォラ大学
  • ロイオス教会
  • 人骨堂